熊本地震による被災貨物の処置について

 

荷主各位
2016年4月20日
一般社団法人 日本冷蔵倉庫協会
会長 細見 典男

 

拝啓
 このたびの熊本県、大分県を中心として発生した「熊本地震」によりまして、被災された事業所、職員の皆様方には心よりお見舞い申し上げます。
未だ余震が続く毎日であり、不安な日々が続いていますが、こうした中、被災された皆様方はじめ被災各地で復旧・復興に向けた取組がようやく始まろうとしているところかと思います。私ども冷蔵倉庫事業者も通常営業再開に向けて一歩一歩作業を進めてまいりたいと思います。

 

 この「熊本地震」により、冷蔵倉庫事業者におきましても、保管中の貨物の荷崩れ等大きな被害を被っております。現在被災各事業所では被災保管貨物の整理、保全に全力を挙げておりますが、ライフラインをはじめ道路さえもまだ確保できない地域もあり、荷主の皆様には大変ご迷惑ご心配をおかけしております。この機会を通じましてお詫び申し上げますとともに現在の状況につきましてご報告申し上げ、併せて今後ともこれまで同様のご厚情、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 

 また、ご高承のこととは存じますが、寄託貨物の損害につきましては、国土交通大臣が定め公示した標準冷蔵倉庫寄託約款(甲)(昭和35年7月1日実施)第42条(免責事項)(約款(乙)では第39条)の規定により、地震、津波等の不可抗力によるものは免責されることになっております。損害賠償保険においても同様に免責となっております。当協会会員各事業所はこの標準冷蔵倉庫寄託約款に基づき事業を行っており、今回の損害についても同様の対応をさせていただきますので、ご賢察の上、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。

 

 なお、被災した貨物の整理とその取扱いについては、誠に遺憾ではございますが、大量の保管貨物が被災しており、冷蔵倉庫事業者において選別した結果、商品としての価値が無くなり保管を継続し得ないと判断せざるを得ないものも発生しております。これらの貨物の処置については標準冷蔵倉庫寄託約款(甲)第22条(約款(乙)では第19条)の規定により寄託者(荷主各位)の皆様に対し適宜の処置をお願いすることとなっております。
 具体的には引き取り或いは廃棄のいずれかを選択していただくことが予想されますが、また、状況によっては冷蔵倉庫事業者が廃棄その他適宜の処置をとることが出来るとなっております。
 さらに、寄託者自ら廃棄される場合はもちろんではありますが、冷蔵倉庫事業者が廃棄等の処置をした場合においても、それらに要した費用と廃棄に伴う商品損害及びその処置が為されるまでの保管料等の倉庫料金は寄託者にご負担を頂くこととされております。
 共に被災した立場で大変心苦しい限りではございますが、当協会会員事業者はこの標準寄託約款に基づき対処せざるを得ない事情をご理解頂きたく謹んでお願い申し上げます。
謹白